精華少年剣道クラブのこどもたち、毎日暑いですね?こんなメールが来ておどろいているかもしれませんが、私が剣道について考えていることや稽古で思ったことを伝えていきたいと思ってます。自己紹介をします。わたしは奥田(おくだ)です。54歳です。みんなは「奥田先生」って呼ぶけど、そんな立派じゃありません。剣道はまだ3段だし・・・でも奈良の柳生(やぎゅう)で生まれたから、みんなより少しだけ剣道のことを知っているかも知れません。
今から400年以上前に剣道ができました。それよりもむかしは、人が刀できりあっていたんです。想像してください。お父さんがよその人にきられちゃうんです。 そんなかなしいことはもうやめにしよう!人と人がきりあわなくてすむ、どうしたらそうなるか?柳生の人がいっしょうけんめい考えて、平和な江戸時代へとつながっていったんです。
きょうは、ぼくが小学生の頃に柳生のおとしよりからきいた話をします。みんなは柳生十兵衛(やぎゅう・じゅうべえ)って人を知ってるかな?イラストのように左の目に、つば(鍔)からつくった眼帯(がんたい)をつけてる剣の達人(たつじん)です。こんなお話しです。
☆☆☆ 十兵衛もさいしょはりょうほうの目が見えてました。ある日、十兵衛はたくさんの敵(てき)にかこまれました。十兵衛はとっさに刀を構(かま)えます。きれいな中段の構えです。そこに敵の一人が、十兵衛に石をなげたのですが、それがなんと十兵衛の左目にあたってしまいました。しかし、十兵衛は顔色(かおいろ)ひとつ変えません。十兵衛はとっさに、まだ見えている右目を手でふさぎました。右目まで石があたると、かんぜんに目が見えなくってしまう、そうかんがえたからです。十兵衛はゆびのすきまから敵をみて、刀はかた手で持ったまま「構えはまったくくずさなかった」☆☆☆とこんなお話しでした。奥田から十兵衛さんへのもうそうインタビュー。
奥 田 「十兵衛さん、いたくなかったのですか?」
十兵衛 「そら、めっちゃいたかったわ。石やで?石。眼球ゴローン、血ぃドボーや. で。袴が血ぃで汚れて奥さんにめっちゃ怒られたわ」
奥 田 「でも構えをくずさないのはさすがですね?」
十兵衛 「構えが大切!って、昔、何度もおじいちゃんに言われたからなぁ。」
奥 田 「目をけがしても敵をやっつけたんですね?」
十兵衛 「相手にも家族はいる。刀をぬかなくてもすむ、そんな世の中を柳生がつくる。血ぃドボーはオレでさいごや、、、」
みんなは、けいこで「ちゃんと構えろ!」と言われませんか?剣道・審判規則第12条に「打たれたほうの剣先が、相手の上体前面に付いて、その気勢が充実していると判断した場合は、有効打突としない」とあります。ちゃんと構えていれば、打たれても取られない、と言う事です。
後記 子供達に少しでも剣道に興味を持ってもらえればと思い書きました。特に夏休みは子供も伸びる時期です。ピッチを上げて発信していきたいと思います。このコラムに対して皆さんお気づきの事があればなんなりと仰って下さい。今回の内容は2021年7月21日の稽古で子供達に話した内容です。